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【インプラント治療】サイナスリフトとは?上顎の骨量不足でもインプラントができる骨造成法!🦴
こんにちは。松本市の歯医者、平沼歯科医院です😊
「インプラントを検討していたけれど、骨が足りないと言われた」
そんな一部の患者さんに必要になるのが「サイナスリフト(上顎洞挙上術)」という骨造成手術です🛠️
特に上顎の奥歯にインプラントを埋める際、骨の厚みが足りず、そのままではインプラントが安定しないケースがよくあります💡
この記事では、サイナスリフトの目的・治療の流れ・リスク・術後の過ごし方・よくある質問まで、歯科医院の現場視点で丁寧に解説します📝
🦷 インプラントがどういったものなのかわからないという方はまずこちらをお読みください↓
サイナスリフトとは何ですか?
サイナスリフトとは、上あご奥歯のインプラント手術において顎の骨の高さが不足している場合に、骨を増やしてインプラントがしっかり固定できるようにするための外科手術です。簡単に言うと、上顎の奥にある空洞(上顎洞といいます)の底の部分を持ち上げて、その下に骨を作る処置です。日本語では「上顎洞底挙上術(じょうがくどうていきょじょうじゅつ)」とも呼ばれます。その名の通り、上顎洞(鼻の横にある副鼻腔の一部)の底をリフト(持ち上げ)して、骨を足すイメージです。
インプラントはあごの骨に穴を開けて人工の歯根(インプラント体)を埋め込む治療ですが、骨の量が十分にないとインプラントが安定しません。特に上顎の奥歯のあたりは、加齢や歯を失ったまま長期間放置した場合に骨がやせて薄くなったり、上顎洞が拡大してしまい、骨の厚み(高さ)が足りなくなることがあります。そのままではインプラントを埋入できないため、骨を増やすための処置が必要になります。サイナスリフトは、まさにそのような「骨が足りない」ケースで骨を造成(増やす)し、インプラント治療を可能にするための方法なのです。
なぜインプラントにサイナスリフトが必要なの?🧐
上顎の奥歯(大臼歯)部にインプラントを入れる際にサイナスリフトが必要となる主な理由は、インプラントを支える骨の量が不足している場合です。歯を失った直後はある程度骨が残っていますが、時間の経過とともに骨は痩せて低くなり、上顎洞の空間が下がってきます(これを上顎洞の気腔化と呼びます)。長年歯がないと骨が痩せてしまい、高さ数ミリ程度しか骨が残らないこともあります。そのような状態では、通常のインプラントの長さ(だいたい8~10mm以上)を埋め込むのは難しくなります。
インプラント治療では、しっかりとインプラント周囲に骨があることが長持ちの秘訣です。骨が薄いまま無理に短いインプラントを入れたりすると、将来的にぐらついたり、インプラント周囲炎(インプラント周りの炎症)のリスクが高まります。サイナスリフトを行うことで、十分な骨の厚みを確保し、インプラントを安全に埋め込める土台を作ることができます。結果としてインプラントが安定し、長持ちしやすくなるため、将来安心して噛めるようになる大きなメリットがあります。
要するに、サイナスリフトは「骨が足りないからインプラントはできないかも…」という状況を打開し、インプラント治療を可能にするための頼もしい助っ人なのです✨。
サイナスリフトの手術の流れ(概要)
それでは、サイナスリフトの手術の流れを簡単に説明します(ここでは一般的な方法である側方アプローチの場合を紹介します)。
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事前検査と準備:まず術前にCT撮影などを行い、上顎の骨の厚みや上顎洞の形態を詳しく調べます。どの位置にどれくらい骨を足すか、綿密に計画を立てます。
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麻酔:手術は通常、局所麻酔で行います。治療する箇所(上顎の歯ぐき)に十分な麻酔をするので、手術中に痛みを感じることはほとんどありません。
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骨に窓を開けて膜を挙上:上顎の奥歯部の歯ぐきを切開し、上顎洞側壁の骨に小さな窓を作ります。その穴から上顎洞内部の薄い膜を慎重に剥がして持ち上げます(破れないよう丁寧に操作します)。
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骨補填材を入れて縫合:持ち上げた空間に人工骨などの骨補填材を詰め入れます。十分に骨材を入れたら歯ぐきを縫合し、手術終了です。
なお、状況によってはサイナスリフトと同時にインプラントを埋入することも可能です。ただし骨の状態によっては無理をせず、骨が定着してから数ヶ月後にインプラント手術を行うケースもあります。
手術時間は症例にもよりますが、おおよそ30分〜1時間前後で終了することが多いです。局所麻酔下で日帰り可能な手術ですので、入院の必要は基本的にありません。術後は麻酔が切れてくると徐々に痛みが出ますが、痛み止めのお薬でコントロールできますのでご安心ください😊。
サイナスリフトの種類:側方アプローチとクレスタルアプローチ
一口に上顎洞に骨を作る方法と言っても、実は2つのアプローチ方法があります。骨の残り具合によって、歯科医師が適切な方法を選択します。
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側方アプローチ(ラテラルアプローチ):一般的に「サイナスリフト」と言うとこちらを指します。先ほど説明したように、側面の骨に窓を開けて上顎洞膜を持ち上げ、骨を補填する方法です。骨が非常に薄いケース(残存骨が数ミリ程度)でも大きく骨を増やせる利点があります。また、膜を直接目で見ながら操作できるため、万一膜に小さな破れが生じてもすぐに対処できるというメリットもあります。その反面、切開範囲が大きいため術後の腫れや痛みが出やすい傾向があります。
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クレスタルアプローチ(ソケットリフト):こちらは歯ぐき側、つまりインプラントを入れる穴からアプローチする方法です。インプラントの埋入予定箇所から特殊な器具で上顎洞の底の骨を少しずつ押し上げ、骨補填材を押し込んでいきます。側方アプローチに比べると手術の侵襲が小さく、傷口も小さいため、術後の負担が軽いというメリットがあります。ただし、狭い穴越しに感覚を頼りに膜を持ち上げるため、膜を破ってしまうリスクはやや高くなります。また、一度に増やせる骨の量にも限界があるため、残っている骨の高さがある程度あるケースでないと適用が難しいです。骨の高さが5〜7mm程度ある場合に適用されます。手術の侵襲が小さく、インプラントと同時に行えることが多いのが最大のメリットです👍
どちらの方法を採用するかは、CTで測った現在の骨の厚みや増やしたい骨量によって決まります。担当の歯科医師が「残存骨が少ないから今回は側方アプローチでやりましょう」などと判断してくれますので、患者さん自身が方法を選ぶ必要はありませんが、違いとして覚えておくと安心材料になるでしょう。当院では、患者さまの骨の状態や全身の健康状態を十分に評価した上で、最適な治療法をご提案しています🗣️
サイナスリフトとソケットリフトの違い📊
サイナスリフト | ソケットリフト | |
---|---|---|
元々の骨の厚み | 4~5mm以下 | 5〜7mm程度 |
手術方法 | 側方アプローチ | 垂直アプローチ |
難易度 | やや高い | 比較的簡便 |
インプラント埋入 | 通常は別時期 | 同時埋入 |
適応部位 | 上顎臼歯部 | 上顎臼歯部 |
手術後の痛み・腫れ・リスクについて
サイナスリフトは外科手術ですので、術後に多少の痛みや腫れが出ることは避けられません。ただし、大半のケースでは痛み止めの薬で十分コントロールできる程度の痛みです。腫れも個人差はありますが、手術後2~3日目あたりでピークを迎え、1週間もすると落ち着いてくることが多いです。人によっては目の下から頬にかけて内出血による青あざが出ることもありますが、これも1~2週間ほどで消えていきます。
リスクとしては、手術中に上顎洞の膜(シュナイダー膜)が破れてしまう可能性があります。膜が非常に薄いため、手術中にまれに膜が破けてしまうことがあります(特に骨が薄いケースではそのリスクが高まります)。膜に穴が開いた場合は、専用の膜で補修するか、一旦手術を中止して数ヶ月後に再挑戦することもあります。膜は時間とともに自然に治癒し、再手術時には前より強くなっています。そのため再挑戦すれば成功するケースがほとんどです。ですので、「膜が破れたら失敗でもうインプラントができなくなる」という心配は必要ありません。
他に考えられるリスク・合併症としては、感染(術後の上顎洞炎)や骨補填材の移動などがありますが、これらは比較的まれです。術後に強い痛みや発熱、膿の混じった鼻水が出るなどの症状があれば、すぐに歯科医に連絡してください。適切な処置と抗生物質の投与で対応します。また、上顎洞に骨を入れることで術後に鼻が一時的に詰まった感じがしたり、軽い鼻血が出ることもありますが、ほとんどは一過性で自然に治まります。
術後の回復期間と注意事項
サイナスリフトの手術後は、体を安静にして傷の治癒を促すことが大切です。個人差はありますが、歯ぐきの傷は約1~2週間で落ち着きます。抜糸(糸があれば)は術後1週間から10日目くらいに行うことが多いです。2~3週間もすれば普段通りの生活にほぼ戻れるでしょう。
ただし、その間いくつか注意していただきたいことがあります:
・強く鼻をかまない・くしゃみは口を開けて:術後1~2週間程度は鼻に強い圧力をかけないよう注意しましょう。鼻を強くかむと上顎洞に圧がかかり、移植した骨に影響を与える恐れがあります。くしゃみをするときは口を開けて鼻への圧力を逃がしてください。
・うつ伏せで寝ない:うつぶせで寝ると手術部位の治りが遅れる可能性があります。できるだけ仰向けか上半身を少し高くした姿勢で休むようにしましょう。
・激しい運動や重量挙上を控える:術後数日は、激しい運動や重いものを持つことは避けてください(血圧や腹圧が上がると出血・腫れが悪化する恐れがあります)。
・入浴・飲酒・喫煙:手術当日はシャワー程度に留め、長風呂や激しい飲酒は控えてください。飲酒・喫煙は傷の治りを悪くし、感染リスクも高めますので可能な限り控えましょう。
・処方された薬の服用:処方された抗生物質や鎮痛剤は指示通りにきちんと服用してください。
術後数日は腫れや違和感が残るかもしれませんが、日に日に改善していきます。何か気になる症状が続く場合は、遠慮せずクリニックに連絡して相談しましょう。無理をせず安静にしていれば、体はしっかり回復してくれますよ👍。
サイナスリフトにかかる費用
気になる費用ですが、サイナスリフトは保険適用外の自由診療となります。そのためクリニックごとに費用設定は異なりますが、一般的な相場は約10〜20万円前後です。使用する骨補填材の種類や量、手術の難易度によって費用は増減します。高額に感じるかもしれませんが、サイナスリフトは高度な技術を要する専門的な手術であり、骨補填材などの材料費もかかるため、このくらいの費用帯になるのが一般的です。不明な点は事前にクリニックで確認し、納得してから治療を受けましょう。
サイナスリフトQ&A(よくある質問)
最後によくあるご質問にお答えします!
Q1. 手術に痛みはありますか? 😣
A. 局所麻酔を行いますので、手術中に痛みを感じることはほとんどありません。麻酔が切れた後は多少痛みますが、痛み止めを飲めば多くの場合は歯を抜いた後程度の痛みで治まります。腫れも一時的なものですので、心配しすぎないでください😊
Q2. サイナスリフトが失敗することはありますか? 🤔
A. 大きな失敗はめったにありません。手術中に膜が破れても適切に対処するので、「もうインプラントができなくなる」と心配する必要はほぼありません。また、骨を入れた部分がうまく骨にならなかった場合でも、再度骨を足すなどリカバリーが可能です。経験豊富な歯科医師に任せれば成功率は非常に高い手術ですので、ご安心ください。
Q3. 入院や全身麻酔は必要ですか?
A. 基本的に日帰りの短時間手術で、全身麻酔の必要はありません。クリニックの椅子に寝た状態で、局所麻酔だけで手術を受けることができます。手術が終わったら少し休んで、その日のうちにご自宅に帰れます。
Q4. サイナスリフトは誰でも受けられますか?
A. 骨の状態に加えて、糖尿病・喫煙・ステロイド服用などは術後の治癒に影響を与えるため、慎重な判断が必要です🩺
Q5. 上顎洞に炎症がある場合は?
A. 慢性副鼻腔炎(蓄膿症)などがある場合は、まず耳鼻科的な治療を優先します。 無理に手術を進めると感染のリスクがあります。
Q6. サイナスリフトの成功率は?
A. 一般的に95%以上の高い成功率が報告されています📈 ただし、術者の技術や術前評価の正確さが重要です。
Q7. 粘膜が破れた場合はどうなる?
A. シュナイダー膜が破れた場合は修復膜で補強し、問題なければ手術を継続。 状況によっては再手術や延期になる場合もあります。
Q8. 治療期間を短くする方法は?
A. 骨の状態が比較的良好であれば「同時埋入(サイナスリフト+インプラント同時)」が可能なこともありますが、無理に急ぐより安全性を優先したほうが長期的に成功率は高くなります。
おわりに:安心して治療を受けていただくために
サイナスリフトは最初は難しく聞こえるかもしれませんが、信頼できる歯科医師と十分なカウンセリングを行い、不安な点を解消してから治療に臨めば大丈夫です👍。サイナスリフトによって、「骨が足りないからインプラントは無理かな…」という諦めを希望に変えることができます。骨を増やしてインプラントをしっかり支えることで、将来にわたってご自分の歯のように噛める喜びを取り戻せるでしょう。
当院でもサイナスリフトを含め、患者様にできるだけ負担の少ない形でインプラント治療をご提供できるよう努めています。気になることや不安なことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。あなたの素敵な笑顔と食事を楽しめる日常を取り戻すお手伝いができれば幸いです😊。
🏥 平沼歯科医院|松本市のインプラント
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